【ユース世代1,600名に調査】約8人に1人が経験、オンラインゲームで性的手なづけ被害。見知らぬ人からのチャットで“ノリが合った”は気をつけて!

特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパンのプレスリリース

特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン(東京都杉並区、事務局長:武田勝彦)は、全国の13~25歳の男女を対象にした「オンラインゲームにおける子どもと若者の実態とグルーミング(性的手なづけ)」に関するアンケート調査を行いました。

調査の結果から、未成年のうち、13%はオンラインゲームを通じたグルーミングを経験、また、知らない人からチャットをもらった未成年は42%いることが判明しました。

「楽しいゲームライフを、安全に!」オンラインゲームをこよなく愛する大学生も調査に携わる。

SNSやオンラインゲームのチャット機能等をきっかけに、性的な目的のために子どもにやさしく接し、信頼関係を得るグルーミング(性的手なづけ)の被害にあう未成年者が増えていいます。警察庁によると、令和6年、SNSやオンラインゲームを通じて犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは1486人で、うちオンラインゲームをきっかけにしたものは98人と前の年よりも10%増えています。2023年7月には、刑法が改正され、「十六歳未満の者に対する面会要求等の罪(いわゆるグルーミング罪)」が新設されました。

チャイルド・ファンド・ジャパンでは、これまでに、子どもたちを性搾取から守るための取り組みとして、若者を対象としたグルーミングに関する調査や、子どもや若者にグルーミングの注意喚起をするため、大学生が主体となりアニメーション動画の作成などを行ってきました。
この度、上記の取り組みの一環として、オンラインゲームにおける子どもと若者の実態とグルーミングに関するアンケート調査を実施しました。この調査では、オンラインゲームを好きの大学生インターン2名が、ゲームが悪用されている現状を悲観し、安全にゲームを楽しんでほしいという思いを込めて、質問・選択肢を作成しました。

調査概要

調査期間   2024年11月28日(木)~2024年12月5日(木)

調査対象   全国の13〜25才の男女

回答数    1,616名 うち、1,049名が18歳未満の未成年者。

※未成年者については、保護者の同意を得たうえで実施。

調査方法   オンライン調査

調査実施機関 GMOリサーチ株式会社

未成年者の8人に1人がグルーミングを経験。見知らぬ人からチャットをもらったのは42%。

調査から明らかになった主な点は、以下のとおりです。

■調査結果分析概要
グルーミングについて

・未成年者のうち13%(約8人に1人)はオンラインゲーム上でグルーミングを経験しており、男性(18%)の方が女性(6%)よりも、グルーミングを経験しやすいと推測される。

・オンラインゲームでプレイした際、知らない人からチャットをもらったことのある未成年者は42%

ゲームプレイについて

・オンラインゲームをしている未成年者は40%。​

・平日・休日とも夜(19時~22時台)に、オンラインゲームをプレイする未成年者が多い。​

・オンラインゲームをする上での家庭内のルールがあるのは、未成年者のうち50%にとどまる。​

・オンラインゲームに特定の仲の良い人がいるのは、未成年男性(68%)の方が未成年女性(58%)よりも多い。仲良くなる理由は、ノリや趣味の一致が多く、内面的要素の一致が関係していると推測される。​

・オンラインゲーム上で友人を作るために自発的に行動する未成年者は、男性(31%)の方が女性(19%)よりも多い。​

本調査の結果を踏まえ、調査チームは、以下のとおり提言します。

■提言
・学校における相談しやすい環境づくり

(例:情報モラル教育を子どもの視点から強化し、未成年が加害者の手口を十分に理解すること。)​

・家庭における相談しやすい環境づくり

(例:保護者が人気のあるゲーム名やそのコミュニケーション機能をできるだけ理解すること。)​

・ゲーム制作・運営会社におけるプレイルールの表示、不適切ワードの制限、通報機能の改善。

(例: ログイン時のプレイルールのポップアップ義務化、性的表現やグルーミング表現の検出・非表示、通報フォームは選択肢だけではなく自由記述も可能にすること)​

また、今後の課題も浮き彫りになりました。

グルーミングについての詳しい質問には予想外に回答が少なく、特定のゲーム名については、選択式ではなく記述式だったこともあり、回答してもらえませんでした。自分が楽しんでいるゲームの評判を落としたり、利用禁止になったり、様々な恐れがあるのかもしれません。対面での丁寧な説明と質疑応答をしながら、アンケート調査をすることも検討する必要があります。

また、ゲームの流行や遊び方が非常に早く変化するため、調査研究は頻度を上げて実施して実態把握する必要があります。

さらに、ゲームコミュニティは、クローズドであり、実態がわかりづらいのが現状です。コミュニケーション方法もゲーム機能にあるだけでなく、様々なSNSによることもあり、より多角的な研究が期待されます。

チャイルド・ファンド・ジャパンでは、引き続き、子どもの権利を守るため、政策提言や子ども・若者へのさらなる調査などの活動を行います。

各質問の回答結果、分析、提言、調査票などは、以下で公開しています。
https://www.childfund.or.jp/blog/250314survey

■引用・転載の際のクレジット表記のお願い

調査結果を引用・転載される際は、「特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン調べ」と、クレジットの記載をお願いいたします。

~チャイルド・ファンド・ジャパンとは~

1975年より、アジアを中心に貧困の中で暮らす子どもの健やかな成長、家族と地域の自立を目指した活動を行う国際協力NGO。フィリピン、ネパール、スリランカを中心に、スポンサーシップ・プログラム(現地の子どもとの手紙のやりとりなどで成長を見守りながら支援するプログラム)などを通して、子どもたちを支援し続けている。また、11ヵ国のチャイルド・ファンドのメンバー団体で連携し、世界70ヵ国、2300万人の人々へ支援を届けている。
SDGsの目標1、3、4、5、16の達成につながる活動を行い、特に、目標16.2「子どもへの暴力をなくす」の達成に向けて、啓発・アドボカシー活動を通して「子どもの保護」の活動に力を入れている。

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