運営コストは10年前の6.7倍。限界を迎える「SQL職人の力技」からどう脱却するか? バンダイナムコネクサス松浦氏らが語った次世代の思考OS。『ThinkingData Salon』イベントレポート

シンキングデータ株式会社は、2026年2月27日、東京・渋谷ソラスタにて、ゲーム業界のプロデューサーやデータアナリスト、DX推進担当者を対象としたオフラインイベントを開催した。

Thinkingdata Co., Ltd.のプレスリリース

本イベントは、モバイルゲーム市場の成熟に伴い、データの「収集」から「意思決定への活用」へとフェーズが移行する中、業界のトップランナーが集い「ツールだけでは到達できない思考のOS」や「データ分析の業界標準」について議論・共有することを目的としている。

スマートフォンの月平均運営コストが過去10年で約6.7倍(4,400万円/月)に膨れ上がる中、データに基づかない不確実な意思決定は即座に事業継続を危うくする。本イベントでは、株式会社バンダイナムコネクサスのリードデータストラテジスト兼データストラテジー部ゼネラルマネージャーの松浦遼氏をゲストに迎え、データ分析における「属人化の打破」や「業界標準の必要性」について議論。さらに、参加企業同士で現場のリアルな課題(アンチパターン)を抽出し、解決策を探る白熱のワークショップを実施した。本稿では、熱気に包まれた会場の様子をレポートする。

■ 第1部 特別対談:「データ分析とAI活用の現在地、そして『業界標準』の必要性」

第1部のセッションでは、株式会社バンダイナムコネクサスの松浦氏と、ThinkingDataのデータアナリストである白石氏による対談が行われた。

株式会社バンダイナムコネクサス 松浦氏
ThinkingData 白石氏

セッションのテーマは、昨今のゲーム運営において避けて通れない「データ分析とAI活用の現在地・そして『業界標準』の必要性」。膨大なデータをただ集めるだけでなく、それをいかにしてアクション(行動)に繋げるかという、まさにイベントタイトルの「『わかる』を『できる』に」を変えるための本質的な議論が交わされた。

1. 溢れるログを「経営の判断根拠」へ変換する

ログが経営判断の材料に変換されるまでの「タイムラグ」がコストを無駄にしている現状を指摘。「変換能力の不足を、優秀なエンジニアやアナリストの力技(SQLや手作業)で補う構造は持続可能か?」という問いに対し、ログ設計から施策実行までを最短距離で繋ぐ標準プロセスの重要性が語られた。

2. ARPUが過去最高、「熱狂」を「LTV」へ変換する

市場全体が縮小する一方、ユーザーの平均課金額(ARPU)は過去最高を記録している。収益を支えるコアユーザーが「熱狂」から「離脱予兆」に変わる瞬間をデータから即座に読み取り、過去の勘(成功体験)ではなく事実(データ)に基づいて価値へ変換する組織文化の作り方が議論された。

3. 個人の知見を「組織の資産」へ変換する能力

「会議の半分が『数字の定義のすり合わせ』や『誰が正しいか』の議論に終始していないか」という耳の痛い課題が提示された。優秀なアナリストを集計作業から解放し、現場のプランナーが自ら仮説検証・施策実行できるアジャイルな環境こそが、組織の機動力を劇的に引き上げることが確認された。

■ 第2部 ワークショップ:現場のリアルな「データ分析の壁」を突破せよ!

第2部は、本イベントのハイライトとも言えるインタラクティブ・ワークショップ「日々のデータ分析を抽出・解決策を議論」。

ここでは、ゲーム開発・運営現場で誰もが一度は直面する“データ分析あるある(アンチパターン)”をテーマに、参加者同士のグループワークが実施された。

ワークショップのルールは非常にユニークだ。各テーブルには以下の3種類のカードが配られ、これらを組み合わせて「最も厄介な業務課題」をシミュレーションする。

白カード(主体):「現場の若手データアナリスト」「数値より「熱量」を信じるクリエイター」「意思決定権を持つプロデューサー」など

緑カード(業務):「課金ユーザーの離脱予兆」「1ユーザーあたりのLTV」「翌日継続率(RR1)の急落」など

青カード(場面):「分析結果が『予想通り』で終わり、次のアクションが出ない」「KPIが多すぎて、結局何を見ればいいか分からなくなる」「過去の成功事例が今のデータに通用せず混乱を招く」など

例えば、「現場の若手アナリストが(白)」「離脱予兆の分析をしたが(緑)」「分析結果が予想通りで終わり次のアクションが出ない(青)」といった、現場の生々しいシチュエーションが次々と生成された。

■ アフターパーティと今後の展望:集まった「リアルな課題」は後日公開へ!

ワークショップ終了後は、軽食とドリンクを交えた懇親会(アフターパーティ)へと移行。セッションやワークショップで温まった熱気そのままに、登壇者と参加者、あるいは参加者同士での活発なネットワーキングが行われ、夜遅くまでゲーム業界の未来やデータ活用について語り合う姿が見られた。

今回のイベントの最大の成果は、業界の最前線で戦う参加者たちから、現場のリアルな「業務課題」が大量に抽出・共有されたことだ。これらは、単なるツールの使い方の問題ではなく、組織論や思考プロセスに根ざした非常に価値のあるデータである。

ThinkingDataは、今回参加者から寄せられた課題と、それに対する実践的な「解決案」を体系的にまとめ、『ゲーム業界 データ分析の課題集&解決案』(仮)として、後日公式イベントやSNS、ポータルサイト等で広く公開する予定です。

「ツールだけでは到達できない領域」を可視化し、業界全体のデータリテラシー向上を目指すシンキングデータの取り組み。今回公開される課題集は、多くのゲーム運営現場にとって必読のドキュメントとなるだろう。

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「データが語る、ユーザーが動く。」

ーー世界中のゲームを導くデータ基盤ThinkingEngine 

 ThinkingEngineは、世界で1,500社・8,000タイトル以上を支援してきた実績を持つ、ゲーム業界に特化したデータ分析・運用基盤です。 データ収集・統合・分析・施策実行までをワンストップで実現するデータ基盤として、マルチプラットフォームのデータを安全に統合し、SQL不要の分析環境とリアルタイム可視化により、現場から経営層まで迅速な意思決定を支援します。 

 その特徴はプロダクト提供にとどまらず、10年の経験を持つデータ専門家による伴走型サポートにあります。導入前の設計から運用・改善・定着までデータ活用の全フローを一貫して支援し、最短2営業日以内の迅速な対応で、データに基づく判断と組織の成長を後押しします。 

 ThinkingEngineと専門家が提供する運用支援を持ってお客様のチームが自立的に成長する「データマスター」への道を支え続けます。

【シンキングデータ株式会社について】 

 シンキングデータ株式会社(ThinkingData Co.,Ltd.)は、2015年に設立されたデータソリューション企業です。上海、シンガポール、東京、ソウル、サンフランシスコへ事業を展開し、ゲーム業界におけるデータ分析支援でトップクラスの実績を誇ります。

 自社プロダクトであるThinkingEngineは、データ収集からリアルタイム分析、可視化、さらに施策実行までを統合する柔軟なプラットフォームです。直感的な設計により、誰もがデータアナリストとして意思決定とアクションに活用できます。

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