【Game Wellness Project】ゲームプレイ時における脳活性状態とパフォーマンスの検証

産経新聞社のプレスリリース

ゲームを通じた豊かなライフを実現するため、産経デジタル(産経新聞グループ)など5社共同でゲームを様々なアプローチで検証するプロジェクト『Game Wellness Project(ゲーム・ウェルネス・プロジェクト)』では、「Stay Home」時におけるウェルネスライフをより豊かなものにして頂く為、鹿屋体育大学・萩原悟一研究室による協力のもと、様々なアプローチでゲームプレイ時におけるプレイヤーの脳活性やパフォーマンス状態を検証しました。

昨今、コロナウィルス感染対策の手段として「ゲーム」への注目が集まっています。WHO(世界保健機構)が推奨する感染対策(こまめな手洗いを行う、他の人との物理的距離を取るなど)を広めるために、世界中のゲーム関連企業がWHOと共同で「#Play Apart Together」キャンペーンを開始するなど、ゲームが社会に貢献を果たしています。

【調査結果サマリー】
【検証1】ゲームプレイ時間から見たプレイヤーの脳活性とパフォーマンス状態について

  • ゲームプレイから平均15分後にZONE(極集中状態)へ突入する結果に → ゲームプレイスタートから平均10分程度はウォームアップ時間
  • ゲームプレイから平均2時間後に集中(注意力)がダウンする結果に → 1回のゲームプレイ総時間は2時間以内がベスト

【検証2】シングルプレイとマルチプレイに見られる「集中」と「リラックス」の関係について

  • シングルプレイ(1名)でプレイすると、集中(注意力)がアップする結果に → 落ち着かない時や没頭したいときは1名プレイがおすすめ
  • マルチプレイ(複数)でプレイすると、集中(注意力)はダウンし、リラックスがアップ → 気分転換したい時やストレス解消したい時は友達とのプレイがおすすめ

【検証3】ゲームジャンルごとで得られる効果について

  • カーレースゲームは、複数の課題を同時に遂行する能力(実行機能)が研ぎ澄まされ、反応力が早くなる傾向に
  • リズムゲーム(音楽系)は、手と目の協応動作による集中力(注意力)アップと音楽によるリラックス度アップZONEが高まる傾向に
  • サッカーゲームは、予測能力と俯瞰力がアップし、状況判断能力が高まる傾向に

■【検証1】ゲームプレイ時間から見たプレイヤーのパフォーマンス状態について
ゲームプレイを通じて生じるプレイヤーのパフォーマンス状態を検証すべく、鹿屋体育大学eスポーツ同好会に所属する男子学生4名を対象に脳波を測定しました。実験は10分間、30分間、90分間、120分間以上の合計で4回行われました。その中で120分間以上実施した実験では、最初の約10分間は集中度に変化は見られず、30分を過ぎたあたりから集中度が高まる傾向が見られました。また、集中とリラックスの間にあるZONE(極集中状態)に突入する傾向が30分から60分あたりで見られました。
一方、ゲームプレイから120分を過ぎると集中度が鈍化する事から、一回で実施する最適なゲームプレイ時間は、約60分から90分と推測されます。しかしながら、プロプレイヤーなどの特殊な能力を有する者はこの通りではない可能性もあります。
ゲームを適切な時間プレイすると、集中力の向上や脳の活性化などの良い影響が得られ、一方で連続で一定時間を 超えてプレイすると集中力の低下など、脳の疲労につながります。

【検証方法】
■対象者:大学生4名■場所:鹿屋体育大学実験室■使用タイトル:カーレースゲーム(家庭用ゲーム機を使用)■測定指標:単極から得られる脳波(リラックス度・集中度)■分析機器:スポーツKANSEI(脳波分析アプリケーション)被験者は10分間プレイする「軽程度eスポーツ活動条件」、30分間プレイする「中程度eスポーツ活動条件」、60分間プレイする「高程度eスポーツ活動条件」、120分以上プレイする「超高程度eスポーツ活動条件」すべての実験を行った。

■【検証2】シングルプレイとマルチプレイに見られる「集中」と「リラックス」の関係特徴について
シングルプレイ(一人でプレイ)とマルチプレイ(複数人)でゲームをプレイすると、パフォーマンスにどの様な違いが生まれるか検証しました。結果、シングルプレイでは、リラックス度はプレイ前とプレイ中で特に変化は見られませんでしたが、集中度は大幅な増加が見られました。一方、マルチプレイは、集中度が若干下がり、リラックス度は増加が見られました。

落ち着かない時や没頭したい時はシングルプレイ、気分転換したい時やストレス解消したい時は友達とオンラインでプレイと自身の精神的な状況からシングル、マルチプレイを選択してゲームプレイするのがおすすめです。

​【検証方法】
■対象者:大学生18名(平均年齢:21.80±1.75歳)Group1: 9名(1名でプレイ)/Group2: 9名(3名で同時プレイ)■場所:鹿屋体育大学実験室■使用タイトル:カーレースゲーム(家庭用ゲーム機を使用)■測定指標:単極から得られる脳波(リラックス度・集中度)■分析機器:スポーツKANSEI(脳波分析アプリケーション)※グラフ内の「※p<.」は「有意差」

■【検証3】ゲームジャンルごとで得られる効果について
ゲームジャンルごとにどのようなパフォーマンスが見られるか、今回はカーレースゲーム、リズム(音楽)ゲーム、サッカーゲームをピックアップして検証しました。

■カーレースゲーム:実行機能が研ぎ澄まされ、反応力が早くなる傾向に
カーレースでは瞬時の判断が必要となることから、実行機能が研ぎ澄まされ、反応時間が早くなる傾向に。野球などの球技スポーツにおいて、バッティング、キャッチ時などの動作に「反応時間」が大きく関係するため、自宅でのリアルスポーツのトレーニングの一つとしてカーレースゲームを取り入れるのは効果的かもしれません。

【検証方法】
■対象者:大学生10名(平均年齢:21.40±1.65歳)■場所:鹿屋体育大学実験室■使用タイトル:カーレースゲーム/家庭用ゲーム機■測定指標:ストループテスト(反応時間:実行機能)反応時間測定1:一致課題、反応時間測定2:不一致課題■分析機器:ハカロシリーズストループテスト

■リズムゲーム(音楽系):手と目の協応動作による集中力アップと音楽によるリラックス度アップでZONEが高まる傾向に
今回使用したリズムゲームは、手を使ってプレイするゲームタイトルを使用。音楽と手の動作を一致させることから、スポーツ心理学で用いられる手と目の協応動作を生み、集中を向上させる効果が見られたたほか、音楽を聴くことでリラックスした状態でより集中が高まりZONEが高まる傾向が見られました。

【検証方法】
■対象者:大学生6名■場所:鹿屋体育大学実験室■使用タイトル:リズムゲーム/家庭用ゲーム機■測定指標:単極から得られる脳波(リラックス度・集中度)■分析機器:スポーツKANSEI(脳波分析アプリケーション)

■サッカーゲーム:予測能力と俯瞰力がアップし、状況判断能力が高まる傾向に
サッカーゲームでは、ボールばかりを見るのではなく、選手の体の動きやパスコースに注意を払うことで、先読みする予測能力と全体をとらえる為の俯瞰力が高まる傾向に。ビジネスシーンなど様々なシーンにおいて重要な「状況判断能力」を高める為に、サッカーゲームを活用する一つの効果的な方法かもしれません。
【検証方法】
■対象者:大学生3名■場所:鹿屋体育大学実験室■使用タイトル:サッカーゲーム/家庭用ゲーム機■測定指標:視線行動■分析機器:アイトラッキング

【Game Wellness Project (ゲーム・ウェルネス・プロジェクト)とは】
近年、eスポーツの人気により、国内におけるゲームへの興味関心がさらに高まりを見せています。若年層の「なりたい職業ランキング」ではゲーム制作関連やeスポーツプレイヤーが上位にランクインするなど、若年層におけるゲームの存在が非常に高まっているほか、全国各地でゲームイベントの開催やeスポーツ専用のスタジオ・会場が次々とオープンしています。
ゲームプレイヤーのプレイ時のパフォーマンスを様々なアプローチで検証し、ポジティブ、ネガティブ両側面を可視化する事でゲームを活用したより豊かなウェルネスライフが創出できると考え、今年2月に鹿屋体育大学萩原悟一研究室による監修のもと、株式会社ゲームエイジ総研、株式会社産経デジタル、日本ユニシス株式会社、ヒューマンアカデミー株式会社をはじめとした計5社で本プロジェクト設立へと至りました。

 

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