リモート勤務: Supersonicのゼネラル・マネージャー 、ナダヴ・アシュケナージ氏の事例

ironSource Japan合同会社のプレスリリース

新型コロナウィルスの感染拡大が終息した場合、リモート勤務を継続しますか。それともオフィス勤務を再開しますか。ゲーム業界には、アーティスト、プログラマー、デザイナー、管理職まで多様な才能が集っています。ただし、それぞれの役割ごとに必要とされる技術は当然のことながら異なります。今日のように複雑に入り組んだ時代であれば尚更です。
華やかな表舞台の裏側で何が起きているのか、そして世界中に散らばる人々はリモート勤務にどのように対応しているか。それを探るため、PocketGamer.bizではゲーム業界の主要人物にインタビューを行うJobs in Games: Remote Workingシリーズ を連載しています。今週は、Supersonic Studiosのゼネラル・マネージャーであるナダヴ・アシュケナージ氏にゲーム業界で働くようになった経緯やコロナ禍によるロックダウンへの適応ついて伺いました。

PocketGamer.biz:現在の役職と業務内容を教えてください。
 アシュケナージ氏: 今年2月に創業したばかりのハイパーカジュアルゲーム企業であるSupersonic Studiosのゼネラル・マネージャーとして、直近数カ月は事業の本格的な立ち上げに尽力してきました。透明性と公平性をベースに、堅実かつ確実な実行力を備えた技術力を基盤としたゲーム企業の構築を目指しています。
 また過去数年にわたり、パブリッシャーとデベロッパーの関係について客観的に観察できる立場にいました。従来までの両者の関係性については改善の余地があると感じています。それは、透明性や公平性に基づく真のパートナーとして長期的なリレーションを築いていくような新たな関係性です。
「モバイルゲーム業界は誕生してまだ間もない。変化に素早く順応しなければなりません」ナダヴ・アシュケナージ

ゲーム業界で働くようになったきっかけと現在の役職に就くまでの経緯をお聞かせください。
 
モバイルゲームの黎明期であった5年前に前身のSupersonic Adsに入社しました。まだハイパーカジュアルゲームというジャンルが存在していなかったころの話です。入社後、ビジネスデベロップメントの役職につき、同社がironSourceと合併した後も、継続して同じ業務にあたりました。
 その数年後、ironSourceのグローバル事業開発及びパートナーシップ部門の担当部長として、ゲーム業界の主要事業者と緊密に協業する機会が増えました。これらのパートナーシップを構築・拡大していくことに、非常にやりがいを見出しました。
 ironSourceがパブリッシング事業に参入すると決定したことで、これまでにゲームのグロース支援へ注いでいた情熱をゲームの開発および制作へと広げ、いままで培ってきたマーケットの豊富な知見をもっと実践的な形で活用できる良い機会と考えました。社名をSupersonicとし、私がゼネラル・マネージャーを務めることになったというのが経緯です。

現職に就くまでにどのような勉強をしましたか。
 大学でITと経営について学んだ後に、グローバル市場に特化した研究を行うケロッグ経営大学院にてエグゼクティブMBAを取得しました。同院で過ごした時間を通じて、グローバル企業でマネジメントを行う上での非常に有用な知見を得ることができたと思います。

同じような仕事に就きたいと考える人向けに何かアドバイスはありますか。
 ゲーム市場にできる限り深く関わるべきです。リアルであれバーチャルであれ、関連イベントに参加し、業界関係者との交流を深め、彼らが夢中になって注力する事柄を徹底的に吸収しましょう。顧客が何を求めていて、市場がどこに向かっているかを肌で理解できるようになります。
 また順応性を持つことも重要です。モバイルゲーム業界は誕生してまだ間もなく、日々変化しています。この変化に素早く順応しなければなりません。毎月、市場は大きく変化し得ます。私はそのような変化に富んだ業界で働くことをうれしく思いますが、見方によっては安定性に欠けた環境に不安を覚える人もいるかもしれません。

 最後にデータに強くなければなりません。楽しさをユーザーへ提供する業界の特性上、創造性も確かに重要ですが、数値に基づいた判断を下すことの重要性が増しているため、データに基づいた思考が必要です。

リモート勤務への移行に当たって何か影響はありましたか。
 正直に言うと、オフィス勤務をほとんど経験していないので比較ができません。わずか5人での事業立ち上げ後、すぐに新型コロナウィルスの感染が拡大し始めたので、以後はずっと自宅勤務を行っています。つまり自宅勤務が基本形であり、その事実が当社の強みにもなっています。
 創業時からリモート勤務を念頭に置いたグローバル規模での運営体制を敷いているので、オフィス勤務に慣れ親しんできた企業よりも優位な立場にあります。現在社員は70名を数え(大多数はコロナ禍で採用)、2カ国を拠点として世界中のデベロッパーやゲームスタジオと連携しています。当社チーム間かパートナー企業との連携においてかに関わらず、リモート勤務によってコミュニケーションに支障が生じなかったことを誇りに思っています。

普段どのようにリモート勤務を行っているかについてお聞かせください。
 担当するすべてのゲームタイトル及びその広告配信先に関する最新データの確認作業で一日が始まります。この作業を通じて、注力すべき要点を明らかにするのです。続いてランキングを確認し、トレンドを分析して、市場の状況をチェックします。
 次にテストを行ったプロトタイプを確認し、タイトルごとのステータスとリリーススケジュールなどを確認します。その後、提携するデベロッパーとのSlackチャンネルを確認し、それぞれのスタジオの最新状況を確認します。これら諸々の作業の合間に自社プロダクトの開発の進捗確認やデベロッパーとのオンラインミーティングや、社内コミュニケーションにも時間を割いています。
「この勤務環境を通じて世界で5本の指に入るハイパーカジュアルゲームのデベロッパーとなったので、特に不満はありません」 ナダヴ・アシュケナージ

リモート勤務の利点と欠点をそれぞれ挙げてください。​
 
あらゆる観点から、リモート勤務の方が効率的だと思います。通勤に時間を費やす必要がなく、仕事中に干渉してくる人も少ないので、生産性は上がります(ただし、家事に追われる時間は増えるかもしれません)。集中力は向上し、またチームとして協力し合うべきという意識もより高まります。その結果、記録及び文書化する機会が多くなるというのもリモート勤務の良いところです。特に勤務時間を柔軟に調整することで私生活とのバランスを取りたいという人は多大な恩恵を得られるはずです。
 一方でリアルな付き合いは減るので、チームの結束力は弱まります。普段あまり接点のない異なるチーム同士の連携となればなおさら難しくなるでしょう。ただし、あくまでも個人的には、然るべき企業精神を築いた上で、社員それぞれのモチベーションを把握し、必要に応じてサポートなりアドバイスを提供することに対してやりがいを感じています。

リモート勤務に移行する前に「知っておけば良かった」と思うことはありますか。
 創業当初から既にリモート勤務を採用しているので、特に「知っておけば良かった」といったようなことはないです。この勤務環境を通じて世界で5本の指に入るハイパーカジュアルゲームのデベロッパーとなったので、特に不満はありません。

リモート勤務への対応に困っている方々に対して何かアドバイスはありますか。
 タスク管理ツールの活用をお勧めします。様々な物事が可視化され、効率性がぐんと上がります。必要な情報の責任者は誰かと探し回ることもなく、即座に把握することができるでしょう。また自社のプロダクトとタスク管理ツールを連携させることにより、プロダクトのアップデートの通知なども自動的に伝達できるようにすることができます。
 ただ顔と顔を合わせるはやはり重要です。当社ではチーム、部門、会社全体といった単位で交流を図っています。またオンライン会議を行う際には、いくら部屋が汚くても、騒がしい子どもがいても、ビデオ機能をオンにすることにしています。

 

 加えて大多数の社員が同じ地域に在住しているので、週に1回はオフィスで顔を合わすことができています。もちろん各地域の外出規制は順守する必要がありますが、実際に対面することで絆を深めることができるという点は大きいです。

新型コロナウィルスの感染拡大が終息した場合、リモート勤務を継続しますか。それともオフィス勤務を再開しますか。​
 恐らく両方を取り入れることになるでしょう。2、3日間をオフィス勤務とし、残りをリモート勤務とすることで両者の働く上での利点を共に生かすことができたらと考えています。

 

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